届け、この片思い
好きな人のジャージを着るだなんて、まるで少女漫画だ。

胸元に"蓮音"と稔先輩の苗字が書いてあるのがなんだかくすぐったい。

「遅いよ」

時間ギリギリに運動場へ出ると、整列する一歩手前だった。

「ごめん、ジャージ借りてきた」

「なるほど、ね……え、え?」

少しニヤついた琴音は私の耳元に近寄ると、どこか嬉しそうに言った。

「蓮音って、あの稔先輩?付き合ってるの?」
< 11 / 28 >

この作品をシェア

pagetop