届け、この片思い
入るべきか否かと悩んでいると、まあまあ大きめの声が聞こえてきた。

「月菜ちゃん!」

ブンブンと手を振る稔先輩は、かっこいいのになんだか可愛くも見える。

隣に座っていた尚くんが稔先輩の手を取って廊下にいる私のところにやって来た。

「行こっか」

私の手を取った尚くんと、それを微笑ましいと言わんばかりの目で見ている稔先輩。

すごくすごく、好きだなと感じるのは、その笑顔がものすごく愛おしいと感じてしまったからだろう。

このとき、私の小さくて大きな覚悟が決まった。
< 15 / 28 >

この作品をシェア

pagetop