天使がくれた10日間
1日目
チャラ男
「じゃあね、透也(トウヤ)。また連絡してね?」
「うん、じゃあな」
リナと駅で別れて、俺は拓(タク)が待ってるカラオケに向かった。
途中見かけたビルのガラスにうつる自分を見ながら、盛った髪を少しだけ直す。
さすが俺。
今日もかっこいいぜ。
…なんて、思ったりしてみるけど、別に俺はナルシストなわけじゃない。
物心落ち着いたときから、まわりにはいつも誰かいた。
友達にも。
女にも。
不自由したことなんて、1度もない。
モデル出身の、母さんゆずりの整った顔と高い身長。
母さんは
「透也はお父さんに似たんだよ」
って言うけど、
どこの誰かもわからないような父親なんか知らない。
小さい頃から女手ひとつで育ててもらった俺にとって、親は母さんだけだ。
高校に入ってからは、前以上にもて始めて、中学の頃と違って女もチャラチャラした奴ばっか。
こうゆう女達は、顔さえ良ければ性格に興味はないらしい。
…まぁそのおかげで、
俺はずいぶん得をさせてもらってるわけだけど。