天使がくれた10日間



「………はい?」


「だから、あんたの上に女の子が落ちてきたんだって!」



母さんが、
言ってる意味がわからない?


女の子が落ちてきた?


…なんだ、それ。



「まったく、すごい確率よね。たまたま居合わせたあんたの上に落ちたおかげで、2人ともほぼ無傷なんて」


「…あの、俺、頭に怪我して包帯巻いてんだけど」


「そんくらい何よッ。たくさんの女をもて遊んだ天罰じゃない?」



病院だっていうことなんかお構いなしに、

豪快に笑う母さん。



…自分でいうのもなんだけど、

まさに

この親にしてこの子あり

ってヤツ?



こんな母親に育てられれば、女を恋愛対象に見られなくなるのもムリはない。

…うん。



「案外、あんたにぶち当たった女の子も、あんたに遊ばれた内の1人だったりして」


「まさか」


「そういえば、さっき看護婦さんがその女の子の病室に来るように言ってたわよ?」


「は?俺が?」


「あんた以外に誰がいるのよ?」



何で俺をこんな目に合わせた張本人に、
俺が会いに行かなきゃいけねぇんだよ。

めんどくせぇ。



…と言いたいところだけど、



「とっとといきなさいよ!まったく、大事な一人息子の危機に駆け付けた母さんに恥かかせないでよね」


「…ハイ」



これ以上、

鬼ババの逆鱗にふれるのはよくない。



「ん?なんか言った?」


「…何でもないデス」



俺はしぶしぶ立ち上がると、病室を出た。



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