天使がくれた10日間
例の女の子の病室の前の廊下。
何人か看護婦たちが、代わる代わる病室をのぞいているのが見える。
「あの〜」
俺が声をかけると、
びっくりして俺を見る看護婦さんたち。
「…今さっき、運ばれてきた坂下なんですけど」
「あ、ああ。入って。中に婦長がいるから」
道をあける看護婦たち。
不思議に思いながら病室に入る途中、
「やっぱりかわいい子の彼氏はかっこいいのね〜」
看護婦のつぶやきが聞こえた。
かわいい女なんて山程見てきたけど、わざわざ見に来るくらいかわいいなんて…
俺、もしかしてラッキー?
これを機会に仲良くなって―――…
「あの、坂下ですけど、俺のこと呼んでるって…」
…俺は、
思わず絶句した。