天使がくれた10日間
「‥‥‥う〜ん」
壁の向こうから聞こえる女の声に、俺はビクッと肩を震わせた。
‥そうだ。
昨日からこの家には彼女がいるんだ。
俺は携帯をマナーモードに設定して、寝間着のままリビングへ向かう。
母さんは――
帰って来てねぇか。
台所をあさって、俺は朝食の支度を始めた。
小さい頃からずっと、料理だけはできる。
めんどくさいからいつもは朝はコンビニで済ますんだけど、彼女――みづきの分くらいはちゃんと作ってやらなきゃ。
パンを焼いて、目玉焼きとベーコンを皿に乗せる。
ありがちな朝食メニューにラップをかけて、リビングのテーブルの上に置いておいた。
‥飯、ここにおいとくぞ。
って、伝えなきゃな。
母さんの部屋をあけると、みづきはまだ小さな寝息をたてていた。
「‥おい」
「んっ‥」
みづきは顔をしかめて、ゆっくりと体を起こす。
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