天使がくれた10日間



放課後。



俺は拓と一緒に、ユカと待ち合わせしている駅前のマックに向かった。





ユカは俺の姿を見つけると

「おーそーいっ」

と頬を膨らませた。





「もう、うちら1時間前からずっと待ってんだからね?」


「わりぃ、バイク乗ってくんの忘れちまってさ」


「あ、この子。梓(アズサ)ってゆうの。カワイイっしょ?」





ユカの向かい側に座っていた女の子がぺこり、と頭を下げた。

ギャルっぽいわりにはあんまり人なつっこい感じじゃなさそうだ。



確かに。

顔はカワイイ。





「あ、俺が透也でこっちが拓。よろしくな!」


「‥よろしく」





一言呟いて、すぐに梓は視線を逸らした。



‥なんだこいつ。

ユカに自分から俺を紹介しろって言ったんじゃねぇのかよ。





「で、どこ行く?」





ユカがそんな俺たちを見て言った。





「あたしカラオケ行きたーい♪」


「あ、俺EXLIEの新曲マスターしたぜ!」


「じゃあカラオケ行こう!」





ユカは柄にもなく照れているみたいで、拓にまったく話題をふらない。

拓は拓でマイペースな奴だし。

梓って奴はさっきから黙ったままだ。





俺はこのなんとなく気まずい空気をどうにかしようと、変にテンションを上げた。



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