天使がくれた10日間
一目惚れ
梓を連れて、俺は家の鍵を開けた。
「‥おかえりなさい」
‥母さん?
いや、違う。
聞き覚えのない声に、俺は頭をフル回転させて記憶を辿る。
そして、
目の前に立ち尽くす彼女―――みづきを思い出した。
‥しまった!
すっかり忘れてた!
「‥妹?」
俺の後ろで梓が呟いた。
そうか!
その手があったか。
「あ、ああ。梓、先部屋入ってて」
‥みづきの視線を感じながら、なんとなく後ろめたい気分で梓を自分の部屋に押し込んだ。
ドアを閉めて、みづきを客室に連れ込む。
「彼女サン?」
寂しそうに
‥実際みづきがどう思ってるかなんてわからないけど‥
みづきがつぶやいた。
「‥友達だよ。今日、泊まってくと思う」
「そっか」
小さい子のように、無邪気な顔で微笑むみづき。
‥こいつは、本当に天使かなんかぢゃねぇのか?
そんな風に思ってしまうくらい、彼女を取り巻く空気は他の女と違った。
‥ふと、
彼女の着ている服が昨日と変わらないままなことに気づく。
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