天使がくれた10日間
天使?
次の日の朝。
今日は日曜日だからゆっくり寝れる―――…
なんて思う時間もなく、
俺はアスカに叩き起こされた。
「やばい!もう9時じゃん!」
「…なんかあんの?」
「あたし、進級ギリギリだったから今日補習があるの!」
服を着ながら騒ぐアスカ。
「ここから一番近い駅ってどこ!?」
「送るよ。渋谷まで」
「ホントッ!?助かる〜♪」
俺はバイクの鍵を持つと、アスカといっしょに家を出た。
駐車場に止めてあるビックスクーターに鍵を差し込み、エンジンをかける。
「いいの?私服のままで」
「うん、うちの学校制服ないから」
アスカにコルクを被せると、駅に向かってバイクを走らせた。
女遊びは激しいけど、
別に悪い男なわけじゃない。
道もわからない女を家から出して放っておいたりしないし、アフターサービスもちゃんとします。
それが俺のモットー。
…なんちゃって。
メールアドレスを交換して、走って電車に乗り込むアスカを見送る。
アスカが完全に見えなくなるのを確認してから、
俺は深いため息をついた。
…疲れる。
なんていうか、いくら好きじゃない女でも初対面とヤツと話すのは多少気を遣う。
セフレみたいな女でも作ればいいんだろうけど、
それは繋ぎとめるのが面倒だし、1人の女だって2回もやればドキドキもなくなって飽きちゃうし。
本当に好きなヤツなら、飽きるってこともないのかな?
もしそうなら、
1回くらいしてみてもいいかも知れないな。
本気の恋愛、
…ってヤツ。