【短編】君にあげるチョコ
「……ぎさ、凪咲!」

「あ、え?あ、暁……」

「ぼーっとしてたけど、大丈夫?体調悪い?」

「大丈夫。帰ろ?」

「うん」



さっきよりはかわいく返せたはず。

そっけない返事はダメだよ、凪咲。

ちゃんと女の子らしくしないと。



「……でさ、今野が……」

「あっ暁!」

「何?凪咲」



大丈夫、落ち着いて。

脳内でいっぱいシュミレーションしたじゃん。その通りにやれば大丈夫だよ。落ち着け……。



「えと、あの、」

「大丈夫。ゆっくりでいいよ」



暁の優しさに、惹かれて好きになったんだっけ。



「はっハッピーバレンタイン!」



今日だけ、と思い、暁に自分から抱きつく。

いつもなら絶対こんなことしないけど、今日はバレンタインだから。女の子にかかる魔法で。

せめて、少しでもかわいく。



「……っ!!な、ぎさ」



もしかして嫌だったのかな?



「なにそれ、かわいすぎるんだけど」

「へっ」

「さいっこう。マジ天使。凪咲、ありがとう」

「どっどういたしまして……っ」



よかった……よろこんでくれて……。



「ねぇ凪咲」

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