恋の仕方、忘れました
戸惑いながらも言われた通りに主任の膝に座ると、彼は私の背中に手を回した。
それにつられて私も主任の背中に手を回すと、主任はふ、と笑った。
「放ってた俺が悪いな」
「放ってただなんて」
「お前は恋愛経験皆無だから、俺がちゃんとしてないといけなかった」
「なんだろう、ちょっと貶されてる気がする」
「俺は仕事が忙しくても、お前ひとりのわがままくらい余裕で聞ける。てか、ちゃんと言ってくれないと俺も分かんねぇよ。全て察してあげられる訳じゃない」
「……」
「だから言えって。寂しいなら寂しいって言えば会いに行くし、不安ならお前が俺の部屋に帰ってきたらいい」
ぽつぽつと紡がれる言葉は、どれも私の心に響くものだった。
聞いてる途中から涙が止まらなくて、自分がどれほど我慢していて、どれほど主任を求めていたか分かる。
別に少し会えないくらい平気だ。
顔が見れるだけで満足。
だけど、たまにこうしてぎゅってしてほしい。
私しか知らない主任に会いたい。
「主任……大好き」
「知ってる」
「素直になれなくてごめんなさい」
「俺も言葉足らずだからお互い様だな」
「主任が寂しいって思ってくれてて嬉しかったです」
「お前が思ってる以上に俺はお前を見てるよ」
「ううぅぅ~」
もう本当に無理。好きすぎる。
多分主任のシャツ汚しちゃってるけど、涙が止まらない。