地味子ちゃんはイケメン男子に寵愛されて
chapter*1
throne
【結々side】
「桜羽さん、おはよう」
「お、おはよう」
登校すると、挨拶してくれたクラスメートにぎこちなく挨拶を返す。
頑張って浮かべた愛想笑いは、かなり引きつってると思う。
そのまま席に着くと、こそこそ聞こえる私への陰口。
「せっかく挨拶してあげてるのに」
「愛想がなさすぎるし。お高く止まって、いい気なもんだわ」
耳のいい方な私にははっきりと聞こえ、その言葉が胸に突き刺さった。
私は桜羽結々。
分厚い伊達眼鏡に、目が少し隠れるくらい長い前髪。
そして、地味子特有の三つ編み。
ボタンはきっちり全部留め、スカートも膝下。
どこからどう見ても、地味な人の中でも底辺に属する私。
しかも、人見知りで、女の子とまともに話せない。
男の人は話す以前に苦手。
昔、よく男の子に意地悪されてたから。
その苦手意識は今でも変わらなくて、少し近づかれただけで怖くて顔が強張ってしまう。
< 1 / 95 >