地味子ちゃんはイケメン男子に寵愛されて
横から聞こえてきた言葉に思わず顔を上げる。
その顔はどこか嫌そうで、面倒くさそうでもあった。
何だか意外……
物腰柔らかで、穏やかそうな人なのに……
もしかしたら、明空さんは……
「さっさと行こうか」
「あ、は、はい」
はっとして、急ぎ足でついていった。
「着いた。ここが事務室だよ」
「じゃあ」と言って去っていく明空さんに慌ててお礼を言った。
「あ、あの、ありがとうございました」
聞こえたのかは分からないけど……
それでも、ちゃんと感謝の気持ちを伝えたかった。
そのまま見えなくなって、今何時なのか把握していないまま事務室の中へと入っていった。