君に溶けるまで。
『颯くんが蘭ちゃんって呼ぶのはおかしい…… あなた誰なの!?』

『あ〜あ 気づくの遅すぎでしょ〜w』

『あなたまさか…!?』

『そうよ。私は陽加! お前、颯くんにチョコをもらったんだってね〜?』

『……だから何?』

『なんでお前がチョコをもらっていいって思ってんの? お前にチョコをもらう資格なんてないんだから!』

私はこの一言で、一気に怒りがこみ上げてきて、キャラ変したかのように口調が変わった。

『…あのさぁ? さっきから何を語ってんの?』

『なによ!生意気な口きくんじゃない!』

『そんなに私に悪口言う人なんて、颯くんは望んでない…!』

『…確かにそうかもしれない。だけどっ…だけど…』

〜回想〜

私は、普段モテることはなかった。

周りから『陽加モテてるね!』 『いいな〜』など言われることはある。

でもそんなこと実際はないのだ。

鏡をふと見る時 私はいつもため息をつく。

だけどある日、私は鏡を見て膝から崩れ落ちた。
自分が自分でないかのように見えた。なにかの魔法でもない。現実だ。

『私はなぜっ… こんなんじゃ… 絶対颯くんは認めてくれない…!』


いつも完璧でいたかった。 蘭みたいになりたいと思ったときもあった。

自分自身を憎んだときもあった。 他人に相談できない。


そんなストレスが顔に表れているのかのように、自分がとても不細工に見えた。

膝から崩れ落ちたことなんて今までなかった。

〜回想終了〜

『だけどっ… 私は…ストレスをあなたに捧げるわ!ww』

『えっ…?』

陽加は私の目の前で私が貰ったはずのチョコを粉々に砕いた。

『陽k』

『陽加…?』

私が喋ろうとしたのに誰かの声が覆いかぶさった。
その声は颯くんだった。 

『颯くんどうしてここに…?』

『どうしてって、蘭がどこにもいないから探してきたんだ。』

『でもこんな場所どうして…?』

『秘密』

颯くんはその言葉を言ったあと、しばらく黙り込んでいた。

『…ねぇ颯くん?』

『陽加は話しかけてくんな!』

『え…どうして…、!?』

『理由を言うまでも無い。お前のせいで蘭のチョコがこんなに粉々に…!』

『っ… そ、それは蘭ちゃんが勝手に自分で砕いていたの…!私が蘭ちゃんを探してここまで来たら、砕いていたところを見たの…!』
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