恋をしたのはお坊様
「後悔はしてないよ。兄貴の死は悲しいことだったけれど、運命だったと思っているし、あの時点で家を継ぐと決めたのは僕の意志だ。それに、一番無念なのは兄自身だと思うしね」
「そう、ですね」
確かにそうではあるけれど・・・隆寛さんはやっぱり大人だな。
私だったらいつまでも文句を言い続けるだろう。
「そもそも人間は裸一貫で生まれてくるんだよ。そう考えれば、こうして生きていること自体幸せなことだと思わないかい?」
「それは・・・」
理解できるし、そんな風に考えられれば今こうして悶々としている私はいないんだろとも思う。
けれど、
「人間が一度犯した罪は、どんなに怒っても消えることはない。だから恨みを重ねるのではなくて、許してあげなさい。そのことが晴日さんにとっての徳になっていくはずだから」
「隆寛さん」
一体どこまでの事情を隆寛さんが知っているのかはわからないけれど、何か感じ取っていることは間違いない。
おかしいなあ、何も話した覚えはないんだけれど。
「とはいえすぐには無理だろうから、晴日さんの気持ちの整理がつくまでここにいてくれればいいよ。僕もその方がうれしいから」
「・・・ありがとうございます」
隆寛さんの側にいると心穏やかになれる自分がいて、とても居心地がいい。
いつまでもこのままってわけにいかないと理解はしているけれど、もう少しだけここにいよう。私はこの時そんな気持ちになっていた。
「そう、ですね」
確かにそうではあるけれど・・・隆寛さんはやっぱり大人だな。
私だったらいつまでも文句を言い続けるだろう。
「そもそも人間は裸一貫で生まれてくるんだよ。そう考えれば、こうして生きていること自体幸せなことだと思わないかい?」
「それは・・・」
理解できるし、そんな風に考えられれば今こうして悶々としている私はいないんだろとも思う。
けれど、
「人間が一度犯した罪は、どんなに怒っても消えることはない。だから恨みを重ねるのではなくて、許してあげなさい。そのことが晴日さんにとっての徳になっていくはずだから」
「隆寛さん」
一体どこまでの事情を隆寛さんが知っているのかはわからないけれど、何か感じ取っていることは間違いない。
おかしいなあ、何も話した覚えはないんだけれど。
「とはいえすぐには無理だろうから、晴日さんの気持ちの整理がつくまでここにいてくれればいいよ。僕もその方がうれしいから」
「・・・ありがとうございます」
隆寛さんの側にいると心穏やかになれる自分がいて、とても居心地がいい。
いつまでもこのままってわけにいかないと理解はしているけれど、もう少しだけここにいよう。私はこの時そんな気持ちになっていた。