ユメ騎士〜イケメン男子達と秘密のアイドル活動始めます〜
颯人は最初に、1番背が低い優に向かって、腹を蹴った。
「痛っ!」
小さいけれど、確かに優が怪我をしてしまったのが分かった。
しかも、颯人の体に隠れているから、恵にこの状況を伝えられなかった。
くっそ!
颯人は、俊・清・京・累の順に怪我を負わせていった。
あの野郎……!
さすがに我慢の限界だ。
颯人がオレに蹴りを入れようとするのを見て、素早く動いてあいつの腹を殴ろうとした。
でも、颯人はオレが殴るよりも速く動いて、自分の頬をわざと差し出した。
罠だ!
そう悟ったが、もう遅かった。
「バキッ!」
オレは颯人に向かって、思いっきり殴ってしまった。
オレのバカ!
こう起きるのは少しでも予想することができたはずだろ!
女子の甲高い悲鳴が聞こえて、まこ先生が教室に入って来た。
笹竹(一加)に事情を聞くと、まこ先生はオレ達に向き直った。
「赤坂くん、桃山くん、黄口くん、青川くん、紫紺くん、緑村くん、時村くん。今すぐ生徒指導室に来なさい」
今まで聞いたことないような、ドスのきいた声。
オレ達は黙ったまま、まこ先生について行った。
一瞬だけ、たった一瞬だけだけれど、恵の顔が見えた。
真っ青になっていて、体・顔の全てが石のように硬直していた。