ユメ騎士〜イケメン男子達と秘密のアイドル活動始めます〜





       ***



「これはどうだ?」

「そうかな?」

「これはこっちの方がいいんじゃね?」

「僕も」

「でもシックすぎじゃないか?」

「そうだな」



 みんな真剣な表情をしながら、話し込んでいる。



「ねぇ、みんな。なに話してるの?私も混ぜてよ!」



 話しかけると、みんなは慌てた顔を一瞬だけする。

 だけど、本当に一瞬。

 すぐにいつもの顔に戻る。



「こ、今回の数学の問題、難しかったな。特にこの問題。ね?恵」



 累くんが笑顔で私の方を見るけど、おかしいことを言っている。



「累くん。そこの問題、誰も間違っていない簡単な問題だよ」

「えっ?あっ、そうだったね」



 みんなは苦笑いを浮かべているけど、清くんだけは、ハラハラした顔をしている。

 清くんは正直者だから、この表情はなにかを隠しているってことだ。



「清くん、なにかあったの?」



 尋ねてみると、清くんはゾッとした顔になった。

 まるで、恐ろしい物でも見たような目。



「ななな、なにもないよ!」



 声がうわずって、明らかに怪しい。

 でもこれ以上聞いても、教えてくれそうにないから、黙ることにした。



        ***




< 60 / 135 >

この作品をシェア

pagetop