ユメ騎士〜イケメン男子達と秘密のアイドル活動始めます〜
「恵」
寝る前、お母さんに呼び止められた。
他のみんなは先に寝ていて、リビングには、私とお母さん2人しかいない。
「お母さん、どうしたの?」
不思議に思って尋ねてみると、お母さんは優しく笑って、ココアを差し出して来た。
小さいアザラシが描かれた、白色のマグカップ。
これは、私が小5の時に、メンバーのみんなでクリスマスパーティーをした時、プレゼント交換で当てた物。
可愛くて、すごく気に入ってるの。
中に入っているココアをすすると、優しい甘さが口の中に広がった。
「落ち着いた?」
お母さんの言葉を聞いて、目を見開いた。
落ち着いたって、どういうこと?
するとお母さんは、少し笑って私の頭を撫でてきた。
「恵、あなた累くん達とケンカでもしたでしょ」
「え……?」
どうして……。
「分かるわよ。親なんだから」
私の心を見透かしているみたい。
お母さんは穏やかに言い、私に向き直った。
その目は、すごく真剣なものだった。
「恵。もし、なにか揉め事を起こしたのなら、絶対に謝りなさい。自分が悪くないと思っても、どこか必ず悪いところがあるの。それを自覚しているなら、ちゃんとあなたが直しなさい」