連れていかれた場所は、セクハラパワハラだらけの収容所でした
「318、お前は6班だ。」

6、と書いてある部屋に放り込まれる。

まるで寝台列車のような2段ベッドが、左右に8列ずつ。
--16人部屋だろうか?

顔を出している人は、皆美咲が着せられているのと同じ作業着を着ている。

老若男女、同じ部屋に入れられているようだ。


プレートに手書きで、318と書いてあるベッドを見つけ、腰を掛ける。
マットレスが固すぎて、板の上みたいだ。

真上の2段目には、老人男性がいる。はしごを登るのもつらそうだが、そんなことは考慮されないようだ。

隣のベッドを見ると、高校生位の男の子。反対隣は少し年上っぽい大学生位の男性だった。


「では、今日の作業開始!」

班長、と名札を着けた人物の号令で皆立ち上がる。

お爺さんが降りるのに苦戦しているので手を貸そうとする。
「お爺さん、1段目と替わりますか?」
そういうと、

バシーン!!

お尻に強烈な痛みが走る。

「っ。。」


どうやら、ムチで叩かれたようだ。
「勝手なことはするな」

「なっ・・!」
言い返そうとすると、今度はこん棒のようなものを振りかざしてくる。

(死ぬかもしれない・・!!)
目を瞑り、ギュッと歯を食い縛る。

(・・・・?)

目をそっと開ける。

目の前には、隣のベッドの男の子が、棒で殴られ、倒れていた。

「!!」


「何庇ってんだ、あぁ!?」

班長は、男の子に更に棒を振り下ろす。

「止め・・」
言おうとする口を、反対隣の男性に押さえられる。

「あいつが庇ったの、無駄にしないで」
コソッと耳元で言われると、涙が溢れてくる。
「っっ!!」

ひとしきり男の子を殴ると、班長は仕事の見回りへと退室した。


殴られた彼はヨロヨロと起き上がると、黙って仕事に向かう。

「あの!ありがとう!・・ごめんなさい。。」

背中に声を掛けたが、彼は手でそれ以上は言うなと諭した。


--左胸に305の名札。

・・名前も知らないけど、助けてくれた。。




「祐貴!大丈夫!?」
先程の男の子に駆け寄る女の子・・胸には304の名札の彼女は、美咲を睨んだ。
「祐貴はもっと自分を大事にして!」


--ユウキ--



それが、305、




・・・・彼の名前・・・・


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