世界の数よりも君と一緒にいたい
「おばあちゃんの家に、行こうかな」

「いいね、それどこ?」

「うーん、いつも車で二時間とかかな」

「車で二時間か、遠いなぁ」

うーんと唸った千世を見てからはっとする。おばあちゃんの家がいいとか、車で片道二時間とか、そんなの無理に決まってる。僕はやっぱり馬鹿だ。言っちゃなんだけど、今までの勉強時間を返してほしい。

「あ、や、えっと。……無理だよね、我儘言ってごめん」

ちょっと頭を下げて謝る僕をよそに、千世はニヤッと口角を上げて怪しげな笑みを浮かべた。

「ねえ心晴くん、ちょっと犯罪しちゃおっか」

「は?」

言ってることが分からなかった。
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