世界の数よりも君と一緒にいたい
「で、例の犯罪って何するわけ?」

千世は公園の真ん中にあるブランコに座って揺れながら僕を見ては不敵に笑った。

「ふたりで電車乗ろう」

「電車?」

「そうだよ、電車。ふたりで、ふたりだけで運転から何までぜーんぶやるの」

「僕、運転なんかできないよ」

「そりゃぁあたしだってできない」

「えっ、じゃあ無理だよ。死んじゃうかもしれないんだよ?」

「別に心晴くんは死ぬために来てるんだから死んだって構わないでしょう?」

「いやいや、千世が死んじゃう可能性だってあるじゃん」

「えー、それはそれでいいけどなぁ。だって心晴くんより先に死ぬか一緒に死ねば、心晴くんの死を見届けなくて済むじゃん」

「千世にはまだ未来があるから」

すると千世は僕から視線を外して一瞬遠くを虚ろな目で見たあと、また僕に視線を戻してニカッと笑った。

「犯罪も、ふたりでやれば怖くないっ!」

完全に言いなりだ。
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