世界の数よりも君と一緒にいたい
「怖いけど、ふたりきりならやってもいいよ」

僕のその口調は一体どの目線をしているのやら。なんだ、身分の高い、王の子息だとか、ちょっとオーバーだけどそんなノリだ。

「何様さ」

思惑通りの質問に、久しぶりに悪い笑みを浮かべた。

「僕様です」

ちょっと声をかっこよくキメて。

そしたら千世は「やるねぇ、心晴くん」と。こちらも聞きたい、何様だ。

「それじゃあ決まり」

千世がブランコをおりた。その顔は嬉しそうに遠くを見据えている。

「電車乗って、心晴くんのおばあちゃんの家に行く。これでいいね」

「うん」

「電車、煽り運転とかしちゃう? 流石に本当の世界じゃできないから、あたしやってみたかったんだよね」

「はあ、もうご自由にどうぞ。僕は乗るだけで運転する気はない」

「あっれー、そうなの?」

運転したいという気持ちだって元はあった。でももう大丈夫です。乗るだけでも怖いのに運転なんかしたら腰が抜けちゃいますので。

「渋い顔。あたしに任せるってことは、君〜それなりの覚悟があるってことですね?」

「え?」
< 14 / 33 >

この作品をシェア

pagetop