世界の数よりも君と一緒にいたい
「心晴くんは意外と負けず嫌いなんだね」

「いいこと聞いた」と楽しそうに前を歩いていった。

負けず嫌いだからって、いいことも何もないのに。実際、何もないけれど。

無駄に勝ちたい精神があるだけじゃないか。これはあくまで個人的な感想だ。きっと僕は運動が全くもってできないから意地張って負けず嫌いを侮辱しているだけだと思う。

僕って面倒くさいなぁ、と滅多に思わないことを思った。

別に、いつもは僕っていいやつだ、とかって自画自賛しているわけじゃないけど。だがお母さんに言われた通りに勉強したりしていたから、それで僕は決してウザかったり面倒くさかったりするようなやつだとは思ってなかっただけ。

ちょっとまあ、新しい自分を知った程度だ。

……うん、僕は完全に馬鹿になった。

程度って、どういうことだよ。と……ついには高校生で勉強に尽くしてきた人が程度という言葉を知らない、にまで馬鹿を上り詰めてしまった。
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