世界の数よりも君と一緒にいたい
荒い石でガタガタしていて、時折バランスを崩しそうになる。

なのに千世は身軽にぴょんぴょんうさぎみたいに飛び回って僕の先を進んだ。

「うさぎ……」

「え、誰が。……あたしが?」

「あー、うん」

ふと出てきた言葉がうさぎだったもので……。悪口じゃない、むしろ褒め言葉……?

だってうさぎだ。うさぎは可愛いのだから、うさぎに似てるイコールその子は可愛い、に基づくのだ。

……う。なんか恥ずかしい。確かに僕は千世のことを可愛いと思っているが、いざこういうタイミングになるとやっぱり気持ちがくねくねする。

僕の面倒くさいところがもうひとつ増えた。それは優柔不断なところ、かな。

「うさぎ、可愛いよね。あたしは白だな、きっと。だって心が穏やかで〜、広くて〜、いいことしか思いつかないから」

「そうやって自分で言う時点で白くないと思う」

「も〜、そういうところだよ。そういうところで心晴くんは黒になるんだよね。だから心晴くんは黒だね」

「別に黒もかっこいいと思うけど」

「違う! あたしは可愛さを求めてるの」

「いーや、黒も可愛いよ」

「なんでそんなに黒を庇う!」

「それは僕が黒推しだからだよ」

「そしたらあたしは白推しだから」

むうっと口を膨らませた千世。
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