世界の数よりも君と一緒にいたい
あんなかっこよくなるのはアニメだからで、現実じゃそんな上手くいくわけない。

それをひとりごちると千世は聞こえていたのか「それが、魔法でどうにかなりそうでしてねー」と悪趣味な笑みを浮かべた。

なんだ魔法って!

そんな、そんなのに任せるなんて、なんか……なんか嫌だ! すごい嫌だ。

千世は確実に子供感が半端ないけど、もしかしたら僕もそう変わらず子供だったり……ね。

って、今気づいたけどここはもう現実的な世界とは程遠い気が……。

だって千世の力でワープできてる時点でもう普通じゃない。

となれば魔法のひとつやふたつ、あってもいいのかもしれないな。

「何ぼーっとしてんの」

千世が僕の頬を引っ張ってきた。

地味に痛くてヒリヒリする。

「まさか、本当に魔法が使えるとか思ってたの〜?」

うわ、舐めてるよ。舐めてる声だ……!

「え、いや、別に?」

「へへっ、心晴くんわっかりやすーい。それ、嘘でしょ。本当は信じてたんだ? 心晴くんって意外とピュアだね」

しみじみと「心晴くんピュア」なんて呟く千世を、むっと口を尖らせて聞いていた。

「ね、心晴くん。残念ながら魔法は使えないけど、あたし力は強いから。かっこよくガラス割ってみせるよ」

なんでこんなに自信に満ち溢れているのか知りたい。

そしてどうしてそんなに元気で悪行為を進められるのかも。
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