世界の数よりも君と一緒にいたい
「ほら心晴くん、入るよ」

割れて開いた穴から身体を通して中に侵入する。

今になってやっと、この男らしくない細くて小さな身体をよく思った。もっと大きかったら、きっとこのサイズの穴では通り抜けられないだろうから。

「心晴くん身軽ー!」

と感心したように目を輝かせる千世だが、きっと誰が見ても僕より千世のほうが身軽だと感じるだろう。なのに千世はなんだ。煽ってるのか、それともただの鈍感で馬鹿なだけなのか。

「運転するのがあるところまで行こ」

電車と電車を繋ぐ道みたいなところを、扉を開けてガラガラと移動した。

一番先頭の電車には運転席がある。

「あった発見!」

ドアのガラスを割って穴を開け、そこから侵入したあとに運転席から鍵を外す。

そしたらブラブラのドアになった。

だけど僕はやっぱり怖いから運転席には入らないでおこう。

「千世が、運転してくれるんだよね?」

「んふふ、もちろん」

そう言いながら運転席に座ってガチャガチャと機材を動かしたり漁ったりしていた。
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