世界の数よりも君と一緒にいたい
「コミュニケーションコミュニケーションってさっきからずっと言ってるけどさ」

電車を降りて、静まり返った先程いた場所よりも相当田舎の道を歩く。

「コミュニケーションって言いづらくない?」

「え、そんな軽い話だったの? あたしもっとおもーい話想像してたんだけど」

驚愕に震える千世を片隅に、僕はそばの木に視点を変える。

「確かにコミュニケーションって言いづらいかもしんないけど」

「そうでしょ?」

コミュニケーションコミュニケーションって、いつか噛みそうになってくるのだ。

「コミュニケーション、コミュニケーション、コミニュケーション」

「あ、噛んだよ」

「んもー、コミュニケーションもコミニュケーションも一緒だってば」

「そうかな、僕はコミュニケーションだと思ってる」

「いや思ってるも何もコミュニケーションはコミュニケーションで、コミニュケーションではない」

「分かりずらいよ、コミュニケーションコミュニケーションって。そんな同じ言葉つらつら並べられても困る」

というか理解するのに遅れる。
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