世界の数よりも君と一緒にいたい
「あたし、千世(ちせ)。君は?」

心晴(こはる)……」

「え? なんて? もう一回」

「こは、る……」

「……こは、あはっ」

女の子――千世――が爆笑し始めた。

「何それ〜、女の子みたい」

くっくっく、と笑いながら肩を組んできた。女の子で僕より身長が五センチくらい低いのに。僕の身長が低いから五センチしか差がないだけで、女の子は百六十五ありそうだ。

身長も名前も性格も、女の子みたいで好きじゃない。どうやったら自分を好きになれるのだろうか。僕には自分をこれっぽっちも好きになれない。

「まあいいや、ふっ、心晴かぁ」

「まあいいやって言ってるのに笑ってるじゃないか」

「じゃあ作りものの世界に行くよ」

「話逸らした」

すると口をとがらせて「ホントそういうのよくない」と言いながら笑った。

千世はよく笑う。なんでそんなに笑っていられるのか分からないくらい。僕は今まで滅多に笑ってこなかったなぁ。きっと今も鉄仮面で笑っていないだろうけど。
< 6 / 33 >

この作品をシェア

pagetop