君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
「最近学校はどんな感じなんだ?」
「楽しいよ、友達ともよく話してるし音楽の話とかもするんだ。」

「そうか、それなら良かったよ、れいは友達とあんまり遊びに行かないから心配してたんだ。」

お父さんはほっとしたように微笑む。

嘘をついているという罪悪感に心がズキンと痛むけれどこれでいいんだ。

「じゃあ私お風呂入って部屋戻るから」

そそくさとご飯を食べ終わらせて早めに私は明日の学校のことを考える。

浴槽の中ではいつも心が落ち着かない。

学校のせいだろうか。

いつも、このお湯の中で氷のように
溶けてしまえたら楽なのだろうかと考える。

けれど今日は泣いたおかげかあるいは彼に出会ったからなのか、学校に行くことへの気持ちはいつもよりも心なしか軽く感じた。

そして私は部屋に戻りゆっくりと目を閉じた。



小鳥のさえずる音が聞こえる。眩しい。

「ん……朝か…。」

ふわぁとあくびをしながら制服に着替えて支度をする。

今日はなんだかいつもより早く起きれたな。

お父さんはもう仕事に行ってるので用意されて
いる朝食を食べて学校に行く。

学校につくといつもより早いからなのか人は
少なく学校も静かだ。

一人で過ごすのも悪くないかもと誰もいない教室の中でうーんと背伸びをしながら呟く。

「一人じゃないですよ。」
「わあ!?!びっくりした」

聞き覚えのある声が後ろから聞こえるものだから驚いて後ろを振り向く。デジャヴだ。

その人を見ると目を見開いてしまった。
まさかこんなに早く会えるなんて。




< 10 / 156 >

この作品をシェア

pagetop