君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
「また会ったね」

にこりと微笑む彼はやっぱり綺麗でほんわりとしていて彼の周りだけオーラが違うように見える。

「あ、あの昨日はすみませんでした!急に逃げ出したりして…。あとありがとうございました」

彼は少し驚いたような表情をしてから

「大丈夫だよ」と優しく返してくれた。

でもなんで彼がこの学校に??

同じクラスでもないし学校では
見かけたことがない。

それにこの学校の生徒ならばもっと有名になってさぞかしモテていることだろう。

容姿端麗の王子様のような顔立ちは女子が食いつきそうだ。

疑問が湧いてきたけれど彼の笑顔を見ているとなぜかそんな現実的な話をする気にもなれなくて。

また会えたならいいやなんて思ってしまった。


「君の名前はなんて言うの?」
と彼が口を開いた。

「私は……氷室れい。冷たいと書いてれいって読むの」

冷と言おうとした瞬間に少しだけ言葉が詰まる。

冷たい人だと、またチカの時のように思われないだろうかと少し不安になった。

けれどそんな不安を彼はすぐに消し去った。

「れいって綺麗な名前だね」

心臓が止まりそうになった。
そんなことを言われたのは初めてだ。

「そう、かな…ありがと。あなたの名前はなんて言うの?」
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