君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
*Haru

冷と会えない時間が前よりも長くなった。
いずれ時期が近くなれば入院することになるのも分かってはいたけどやっぱり少し怖くなる。

もし…もし冷がいない時間に僕がいなくなってしまったらと思うと怖かった。

でも、わがままなんか言っていられない。だって冷には真っ当な人生を生きて幸せに何不自由なく生きてほしいから。

これは僕のエゴでもあるのかもしれない。

僕のために全部を費やさなくていい。
冷はいつか僕を忘れて誰かと愛し合って、もっともっと後に僕と空で再開できたら嬉しいなと願っている。

僕はおまけで大丈夫だ。冷が幸せに生きてくれたらそれが一番嬉しくて大切なことだから。

それに今は透和がいてくれている。

「おい、りんご買ってきたから剥くけどうさぎでいいか?」

ぶっきらぼうに真顔でそんなことを言っているけど僕は思わず吹き出してしまう。

「ふっ…ふふ、あははっ!」
透和は怪訝そうに眉をひそめて「なに笑ってんだよ…」と言っている。

「透和って本当にかわいいもの好きだよね、わざわざうさぎに剥いてくれるの?優しいなあ」

「うるさい」と返してくる透和にまだ笑いがふふっとこぼれてしまう。

やっぱり透和がいてくれて良かった。一人だったら少し、少しだけ寂しかったかもしれないから。
わがままを言ってしまうかもしれないから。

「透和…ありがとう」

突然そんなことを言う僕に透和は少し驚いた表情をしたけれどすぐに「別に、あたりまえだろ」と返してくれた。

いい友人をもったなと心が暖かくなるのを感じた。
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