君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
後ろを少し気にしているとさっそくチカと暖は
話し始めていた。

「暖くん、何か分からないことがあったらいつでも聞いてね」と照れ笑いをしながら優しい口調で話すチカはやっぱりかわいくて。

容姿の整っている2人を見ると
お似合いだなぁと思った。

「チカさん、って言うんだよね?
ありがとう、これからよろしくね」

後ろを見ていなくても声を聞くだけできっと暖は優しい顔をしているのだろうとわかる。

あの人はきっと私だけじゃない。
皆に優しくて暖かい。

私はたまたま少し早めに出会っただけで
特別なことなんてなにもない。

それを分かっておかないと。

休み時間がくるとチカは暖とずっと話していて私に突っかかることが今日は一度もなかった。

嬉しいような悲しいような、
複雑な気持ちが頭の中を巡る。

こんなことをうじうじ考えていても
仕方ないと分かっているのに。

私はいつもより授業に集中できないまま一日を過ごした。

その日は時間が長く感じた。

放課後がやっときてくれて安堵する。

後ろを見ても暖の姿はなくもう帰ったのだろうか。

そんな時チカとチカの友達の佳奈の声が聞こえた。

「ねえチカ!もしかして暖くんといい感じなの?めっちゃイケメンじゃん」

「もう佳奈やめてよ、そんなことないから。
それにまだ暖くんのこと全然知らないし」

「えーそうなのー?」

私は一刻も早くこの空間からでたくなった。

イヤホンをつけてすぐに耳をふさぐ。
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