君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
家に着くとお父さんはまだ帰ってきていないようだ。

今日の夕飯はなにを作ろうと考える。

「うーん…今日はカレーにしようかなあ」

具材はほぼ揃っているため、近くのスーパーにカレールーを買いに行くことにした。

そんな時見覚えのある人影を見つける

あれは、湊だ。

思わず隠れてしまった。

友達と2人でいるようだ。
「なぁ、湊最近冷ちゃんとはどうなんだよ！話してんのかー？」

冷って…私の名前、だよね。

「そういうのやめろって、別に何もねえから。冷ちゃんとは高校も違うんだから」

なんだよーつまんねーの、の友達が言いすぐに私の話題はなくなったみたいだ。

あの話を聞くとまだ湊は私のことが好きなのだろうか、でももう1年近く経っているし。

まさかそんなわけと思い早足に会計をすませた。
早く帰ろう。そう思った時だった。

「あれもしかして、冷ちゃん？」

しまった。近くのスーパーだから大丈夫だと思いマスクもつけずでてしまった自分を恨む。

「…あー、うん久しぶり湊」

頑張って笑っているつもりだが自分の口角が引きつっていてあきらかに変な顔になっているのが分かる。

普通ににしなければと分かっているがやはり何と言えばいいのか分からない。

それにさっき一緒にいた友達はどこにいったんだ。

空気を読んで先に帰ったのだろうか。やめてほしい。


「…元気してた？」とその後お互い少し気まづい空気を感じながらも軽く雑談をした。

話が一通り終わったあと湊が口を開く。

「あのさ、もしよかったらなんだけどこの後…」

「私今ちょっと急いでて、ごめん、！」と湊がいいかけた言葉を遮って私はすぐに走り出した。

夕飯を早く作らなければならないし急いでいることには間違いないが少し心が痛む。

きっとどこかに誘うつもりだったのだろう。
ごめん、湊！
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