君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
記憶
____誰かの声が聞こえる。

「冷って素敵な名前だね!」
「ほんと?!嬉しいありがとう…!」

これは私の、幼い頃の記憶…?

そういえばこんなことがあったような気がする。
お父さんとお母さんが離婚した直後やはり家の雰囲気はいつもより暗くなっていた。

子供ながらに気を使った私は「外でお友達と遊びにいってくる!」と友達もいないのに家を飛び出したのだ。

その頃から何度か名前をばかにされることがよくあった。
「冷って変な名前ー!」
「こいつに触ったら俺たち凍っちゃうかも!」
とひどいことを言われるとが多かった。

皆はひどいことをしているというより面白半分で言っていただけなのだろうけど。

それにきっと問題は名前だけではなかったはずだ。

元々人見知りということもあり家族の前でははしゃげても幼稚園や保育園という「集団」に括られると皆と喋ることができなかった。

1体1だと話せるのになんで自分はできなのか。

話しかけてもらっても上手く返せない私にいつしか皆も"嫌な子"というのが定着してしまったのだろう。

私のその行動と名前のせいでばかにされることが増えたのだと思う。

だから友達もいなかった私は1人で砂遊びをして遊んでいた。
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