君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
その日は雨が降っていた。

天気予報ではこんな事言われていなかったのにと傘なんて持ってきてないよ…と窓の外をぼんやりと眺めていた。

まぁチカと一緒に傘にはいればいいだろうと思い、いつものようにチカに帰ろうと声をかけようとした時だった。

「ほんとひどいよれい」

「それな!チカの好きな人横取りしたあげく色目まで使っちゃってさ」

「…いっつも皆には冷たいくせになんで湊にだけあんなデレデレしちゃってんの」


私のことだ。

目の前が暗くなっていく。

なんで?どうして?そんなつもりはなかったのに。

チカが湊のことを好きだったなんて。
初めて知ったことだった。

私はとっさにトイレにかけこんだ。
それでもチカの声はずっと頭に響いてきて私の心を侵食していく。


「冷たいくせに」


私のことをチカだけは受け入れて好きと
言ってくれたから。

本当はずっと怖かった。

安心と同時にいつ失望されてしまうのかという
感情が同時に襲っていた。

でもこんなタイミングでくるなんて、思ってもみなかった。

私のせい、私が悪い?

そうか、名前の通りだ、私は冷たくて氷みたいで周りから嫌われていく。

外を見ると、雨はさっきより強くなっていた。


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