君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
チカも暖もただの軽い風邪とかならいいけど…。
「…そうだ」と暖と連絡先を交換したことを思い出す。

チカには今の状態の私では何も聞けないけれど、暖の具合がどうかは知れるかもしれない。

そう思い私は思いきってメールを送ることにした。

[ 夜遅くにごめんね。暖、今日学校休んでたけど大丈夫?]
と端的な文章を打つ。

メールを送るだけなのになぜだか緊張してしまう。

最近人との連絡をとっていなかったからかこんな時間に送って迷惑じゃないか、とか、嫌われないかとか考えだしたらキリがない。

私は少しだけ震える手で暖のメール画面の送信ボタンをおした。

押した直後もソワソワして寝てるかもと思いそうだったら申し訳ないなと勝手に考えてしまう。

そんなとき、ピコンとメッセージの通知が届いた。

想像よりも早い返信に驚いてしまう。
いや、もしかすると暖ではなくて違う人かもしれないし…などと会話をしてる友人もいないのに疑ってしまう。

恐る恐るスマホの画面を開くと『暖』と書かれた相手から返信がきていた。

[ 心配かけてごめんね、軽い風邪をひいちゃったみたいなんだ。すぐ治ると思うから大丈夫だよ]

と暖らしい優しさが滲み出ている文章が打たれていた。
その後もう一着、メールが送信される。

[ 冷はあの後大丈夫だった?遅くまで話させちゃったから冷えてないか心配で ]と私への心配の
言葉まで送ってくれるなんて。

そんな優しさに心がキュッとなる。
もう次私が、暖と会う時には話せないんだろうという現実に打ちひしがられそうになる。
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