君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
変化
私はまだ少しだけ底に残っていたコーヒーを
飲み干した。

「…よし!」
学校を休もうかほんの少し迷いがあったけれど
逃げるようなことはやっぱりしたくない。

私は重い腰をあげてゆっくりと学校に向かった。

歩いていくと徐々に周りに人が多くなっていく。その波に自分が呑みこまれて行くのを感じると、いつも気が重くなる。

今から学校に行くという気持ちがどんどん高まっていく気がするからだ。
最近はこんなことを考える時間は確実に減っていた。それは多分、暖がいたからだと思う。

けれど今日からは違う。
でもそれはまた前のように戻るだけ、何も怖くなんてないと私は自分にそう言い聞かせた。

私は校門の前につくと深呼吸をし、意を決して
教室へと足を進めた。

教室にはいると、中は思っていたよりもいつもと変わらないような雰囲気だった。

ほっとする反面多少のもやもやを感じる。
きっと大半は私と違って昨日のことなど忘れているのだろう。
なかには私をじろじろと見てくる人もいるがほとんどの人は昨日たまたまクラスメイトが争っていた、などという軽い認識なのだ。

まぁその中でも昨日と全く態度が変わってない人もいるが。
佳奈だ。私の方を見ながらコソコソと「うわ…きたよ」と言っているのが分かる。

わざわざ聞こえるように言っているのだろうか。

佳奈は今日もチカといないのかと思い、チカの席を見てみるとそこは空白だった。
もしかして今日も休みなのだろうか?

佳奈に聞いてみたいものだが今そんなことを聞いたらどうなることだろう。

想像するだけで胸焼けしそうだ。
チカの隣に目を移すと暖もまだ学校にはきていなかった。

風邪と言っていたしやっぱりまだ治っていないのかもしれない。

心配に思うが今の私には何もできることはない。
自分の無力さがやるせなくなる。
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