君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
次の日から、チカとは話せなくなった。

チカからどうかした?と声をかけられることもあったけれど昨日の声がずっとフラッシュバックする。

普通にするべきだと、大丈夫だよと言うべきなのは頭では考えているはずなのに。

私は下を向いて結局チカに何も言えなかった。
それをきっかけに私の日常は崩れた。

そこからはチカも気付いたのだろう。

自分が陰で話していたことが
聞かれていたことを。

そしてそれを知った瞬間にどうでもよくなったのか私に対する嫌悪感は日に日に増していった。

ハブりや私に聞こえるような悪口という陰湿ないじめがおこるようになった。

けれど主に悪口を言うのは、いつもチカの周りにいる女子たちだった。

チカはそれに賛同するだけで「…そうだね」と曖昧な返事をするばかり。

暴力や危害を加えてくるようなことはしてこないが、佳奈たちは周りにも私のことを悪く言い出したのだろう。

クラスメイトは皆私のことを無視するようになった。

でも私は心が折れるとか、辛いとか、そういう訳ではなかった。

クラスメイトよりも私はチカが大切で、だからこそチカに嫌われているというショックの方が大きかったのだ。

けれどもう遅い。
後戻りなんてできないのだから。

そこからはもう湊とも話さないようになった。

私と話していれば湊に危害が加わる可能性だってある、それにこれ以上チカに変な誤解はされたくないから。

私が元気をなくして以来、湊は最初ずっと心配そうにしていた。

「大丈夫?なんかあったの?」

けれど私が何も返さないものだから湊も無理には聞いてこなかった。
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