君と過ごした世界は、どうしようもなく暖かい
けれど体育を潰す自分にとってのいい言い訳になったので結果的にはよかった。

何もせずに教室や保健室にいるよりかは、私はクラスメイトを探している人がいたので話していたのだ、と思えば少しは気が楽になる。

桐生くん言い訳に使ってごめんね、と思いながら体育が終わるまでの残り時間は1人の教室を満喫することにした。

私が一人で席に座っていると、教室の外が少しガヤガヤと騒がしくなりはじめた。

きっと授業が早めに終わったクラスの声だろう。
もうそろそろクラスメイトが帰ってくるかもしれない。

それならばここにいると目立ってしまうので私は屋上へと向かった。

この学校は屋上は立ち入り禁止だ。
でも鍵が壊れているせいで簡単に出入りできてしまうのだ。

だから私は一人になりたい時や行く場所がない時に時々ここにくる。

我ながらゆるゆるの学校だなと思ってしまう。

屋上からは色々な人が見える。
早退をしている人や遅刻をして今学校にきている人、忙しそうに歩く先生、子供を迎えにきている保護者。

こうやって傍観的に人を見ていると不思議な気分になる時がある。

一人一人に人生があって、今あの人はどんなことを考えているのかとかどんな過去があったのかとかそんなことを考えてしまう。

私とはなにもかもが違う人生。それがどんなものなのか知りたくなる。

そんな時、ふと校門の方を見ると見覚えのある生徒がとおったのが見えた気がした。

私は目を凝らしその相手を見る。
あれは………暖…?
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