君にありがとう【咲】
最後の日に会えないと思うと、必死になって相馬を探した。
周りの人達は、『なにしてんだ、こいつ』みたいな目をしているが、そんなの気にしていられない。
本当に私から離れてしまったのかと思うと、悲しくて涙が出そうだった。
涙が出かけたその時。
「咲!よかった、見つけた」
何度も聞いた声。
振り向くと、会いたくてたまらなかった人が、目の前にいた。
「そう……ま」
「全然見つからなかったから、心配したんだぞって、咲!?」
私は相馬に抱きついた。
150㎝の私が、170㎝の相馬をハグするのは、少し大きすぎる。