君にありがとう【咲】



「2人とも渡したいなら、せーので出さない?」

「うん」



 相馬の提案に、私は頷いた。

 そして、手に持っている紙袋を握りしめる。



「「せーの!」」



 相馬は、小さな黒い箱を持っていた。

 私たちは持っている物を入れ替えると、それぞれ開けてみた。

 箱の中には……。

 シルバー色でハートの形をした、指輪が入っていた。



「そう……ま。これ……」

「咲、ずっと前から好きでした。付き合ってください」



 そう言って頭を下げた相馬。

 驚いて、声が出なかった。


< 16 / 18 >

この作品をシェア

pagetop