君にありがとう【咲】



 そう言われて、頭に空手チョップを食らった。



「い、痛い……」

「お前がため息つくのが悪い」



 そう言うと、一緒に家まで帰った。

 彼とは家が隣で、よく塾の帰りなんかで、一緒に帰っている。



「なぁ、咲」

「ん?どうしたの?」



 突然のことに、私は首を傾げた。

 見ると、相馬は少し緊張したような顔をしていた。

 そんな彼が珍しくて、私はますます不思議に思った。



「今日、バレンタインだよな」

「うん……」



 さっき悩んでいたことが、ほじくり返された。


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