君にありがとう【咲】



 それが少し胸にズキッと来た。



「チョコ、くれないのか?」



 その言葉に、私は息が詰まった。

 私は毎年、相馬にチョコレートを渡している。

 友チョコではある。

 けど、本当は本命チョコだ。

 多分相馬は、このことに気づいていない。

 相馬みたいなイケメン、可愛い女子なんて選び放題だ。

 だから私の気持ちになんて、気づいてないだろう。



「うん……。受験だから。親がうるさくて……」

「そうか……」



 そんな悲しそうな顔をしないでほしい。


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