君にありがとう【咲】



「別にいいでしょ。だって相馬、今日の塾でどれだけチョコ貰ってると思ってるの」

「さぁな」

「……全部本命チョコだったの?」



 思わず声が震えた。

 普通にチョコを渡すことができる女の子達が、羨ましく思った。



「どうだろうな。手紙で告白されたりはしたけど」

「……その告白受けるの?」

「受けない。俺にはそんなの必要ない」

「そう……」



 返事をしないと言われて、嬉しさはあった。

 けど、必要ないってことは、私がしても無意味なのかな?

 そう思うと、涙が出そうだった。


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