君にありがとう【咲】
⒉受験の日
その日から、私は相馬と会うのが、気まずかった。
だから、学校でも塾でもあまり絡まず、一緒に帰らないようにした。
こんなことをして、私は臆病者だ。
けど、仕方がないじゃないか。
あんなことがあって、大好きな人に会うのは誰だって気が引けるのではないか。
そう自分に言い聞かせて、私は日々を送っていた。
もちろん、勉強はした。
何かを気にしないようにしたせいで、私は欲を満たす為に机と一心同体になった。
今日の塾でも、相馬はちょくちょく私の方を見ていた。