君にありがとう【咲】



 友達思いの相馬のことだ。

 多分私が絡まなくなってから、心配しているんろう。

 そんなことしなくてもいいのに……。

 本当は声をかけて、一緒に帰りたい。

 けど、それができないのが悲しかった。

 結局、私は相馬と話せないまま、他の友達と帰ることにした。



「咲、なんかあった?」



 塾の帰りの中、友達の水戸 詩(みと うた)にそう言われた。



「……なにもないよ」

「嘘、めっちゃ暗い顔してたよ。誰だって分かるくらい」



 詩にそこまで言われるってことは、そんなに分かりやすかったんだ……。


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