元カレ
大切なヒト
「…大丈夫?」

声が頭上から聞こえ、心月(みづき)は顔をあげた。

「けいちゃん…」

そこには心月の彼氏・敬多(けいた)が心月を心配そうに見つめていた。

「なに、ぼんやりしてるの?」

「昔の事を思い出してね」

何故か寂しそうに心月は笑う。

「昔のわたしの名前、クラゲって読むから、なんでこんな漢字にしたんだってよく母親とケンカしたっけ…」

ああ、と敬多は呟き、心月を抱きしめる。

「辛かったね…、みーちゃん」

「…もし…、もしわたしたちが結婚して、子どもが産まれてもわたしは変な名前はつけない」

「そうだね、みーちゃんの前の漢字もそうだし、あとところてんとかね!
絶対からかわれるよ…」

ところてんと聞き、心月は思わずドキッとした。
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