サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)
2 恋人欠乏症を感じたら、200%で猛攻すべし
明日の午前中を半休にしたとはいえ、いつ帰るかも分からない彼女を待つのは結構辛い。
待つのが嫌だというのではなく、彼女がいる場所が分かるからこそ、足がその場所へと向かってしまいそうで。
キッチンにほぼ出来上がってる料理と、冷蔵庫の中に既に完成していると思われるものが幾つかある。
彼女が俺のために作ってくれたことが嬉しくて、笑みが零れた。
元々料理自体が嫌いな上、仕事柄刃物を自宅で使うことすら避けていた彼女が、俺のために料理教室に通ってまで頑張ってくれているということ。
別に毎日外食や出来あいのものでも俺は十分。
それこそ、家政婦を雇ったって構わない。
けれど、二人の家だから、なるべく第三者は入れたくないと彼女が言った。
友人や家族ならともかくとして、『財前』という家柄の財産を狙う人かもしれないし、だなんて突飛な発言が可愛らしい。
実家で長年使えた家政婦を回すに決まっているのに。
軽くシャワーを浴びて、リビングへと戻る。
二十三時を回っていて、そろそろ帰って来てもいい頃だと思うが、一向に連絡がない。
リビングでパソコンを立ち上げ、企画書に目を通す。
気付けば深夜一時を回っていて、さすがに眼も肩も背中も疲れて来た。
相変わらず帰る気配のない彩葉。
彼女が執刀する手術は比較的高難度のものばかりで、簡単な手術だと比較的若い医師が執刀しているようだ。
結果的に、彼女の仕事は常に長時間拘束される手術だということ。
それだけリスクも高いし、精神的にも肉体的にも疲労感は比例する。