サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

彼女が勤務する病院で何度か会ったことのある、彼女の一つ上の先輩という男性医師。
彼女が昔からお世話になっているという彼は、仕事もかなり出来るらしい。

『准教授』という肩書が物語っていて、彼女が尊敬する人物でもある。

そんな彼が先日、『今年、彩葉が准教授になれそうなので、しっかり支えてあげて下さい』と。

人の恋人を『彩葉』と呼び捨てにするのにはさすがにカチンと来たが、俺と知り合うよりずっと以前から彼女を支えてくれた人。
男の俺が見ても美男だと納得の容姿なのに、彩葉が彼を『男』として見てないという事が安心材料のようなもので。

内心苛々悶々とする感情を押し殺して呑み込んだ俺は、彼の言う『支え』ということに専念しようと決意した。

俺が眼病を克服するために二年もの間、彼女を放置したことを考えれば、あと数か月我慢すればいいのだから。

あの時、何度も何度も彼女に逢いに行こうかと思ったほど。
手術が成功し、少しずつ視力を回復していた俺は、本当は一番最初に彼女の姿が見たかった。
現実はそんな容易いものではなかったけれど。

真っ暗闇が薄っすらと明るくなるような世界の中で、常にぐらんぐらんと揺れて歪む世界と隣り合わせで。
眼を酷使すると鋭い痛みを帯びたり、常に紫外線を避けるように気を遣ったり。

そんな生活を余儀なくされ、完全に医師からGOサインが出るまでの間、再び悪化しないかという不安と日々戦っていた。

その間にも、彼女に好きな男が出来て、お見合いや合コン、ナンパや紹介といった類の出会いも込みで、誰かに心を奪われるんじゃないかという最大の不安が暴れ狂って。
その感情をセーブするのが一番苦労した。

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