サイコな機長の偏愛生活(加筆修正中)

三十歳という節目のような歳を迎え、現実から逃げ出すように『結婚』とうい選択を選んでしまうんじゃないかと。
海外からプレゼントでも送ろうかと何度も考えたが、捨てるような形で別れた彼女に俺から連絡など出来るはずもなく。

唯一、秘書の酒井に送られて来たメールを転送して貰うのが、俺のモチベーションでもあった。
『今日も俺のことを心配してくれている』と。



深夜二時を回り、未だに連絡がない。
今日も朝まで手術に追われているのだろうか?

国際学会も本来は彩葉が行く予定では無かったと聞いている。
連日の緊急オペだって、断ることもで出来るだろうに。

『准教授』という座をかけて、日々研究と努力を惜しまない彼女に頭が下がる。

男の俺ですら、同じ立場だったら逃げ出してしまいそうで。
『人命』を扱う仕事は同じだけれど、操縦であればオート機能が搭載されている。
勿論全部では無いから、全ての機能を把握していなければ操縦は出来ないけれど。

パソコンを閉じて、書類を片付ける。
壁掛け時計に目をやり、スマホを立ち上げた。
留守電でも入れていおこうかと思って。

聞き慣れた女性アナウンスの声を待っていると、『ッ?!!……はいっ、もしもしっ』と愛らしい声が聞こえて来た。

「彩葉?……終わったか?それとも、まだかかりそう?」
「先ほど終わりました」

ホッと胸を撫で下ろすと同時に笑みが零れていた。
だって、もうすぐ彼女に逢えるのだから。

すぐさま車のキーを手にして、自宅を後にした。

普段なら片道十分ほどの道のりが、深夜ということが俺に味方する。
五分ほどで彼女が勤務する大学病院の裏手にある通用口前に到着した。

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